Onkyo Majo — Crystal Cauldron

結晶釜

五秒の声を煮つめて、ひとつの鉱石に変える釜。

声の高さの動きが縞になり、音の明るさが石の色になる。
混じり気は疵ではなく、物語よ。

(声はこの端末の中だけで読まれ、どこへも送られない)

五秒。途中で火を止めてもいいわ

釜の掟と、魔女の真実

石はまるごと実測よ。 石の大きさは釜に注いだ声の長さ——無音を除いた実際に喋っていた秒数で、面積がそれに比例するわ。外側の魔法円は釜の口だから、いつでも同じ大きさ。あれが物差しよ。石の色は音の明るさ(スペクトル重心)。縞のかたちは声の高さの動き——あなたのF0曲線を、そのまま積み重ねて縞にしている。縞のうねり幅は抑揚の広さ。内包物は声の揺らぎ(音の質感の指標。録れ方にも敏感だから、同じ声でも同じ石にはならないわ)。輝点は言葉の間。
声の大きさは使っていない。 音量はマイクとの距離や機械の自動調整でいくらでも化けるもの。それで石の大きさを決めたら、測っているのは声ではなく机とマイクの距離になってしまうでしょう。この釜は、化けない数だけを使うことにしているの。
混じり気の掟: 内包物の多い石ほど、産地の空気をよく憶えているもの。疵ではなく物語として読むこと。身体や喉のことは何ひとつ読まないし、言わない。
掟: 声はこの端末の中だけで解析され、どこへも送信されない。石に残るのは数値だけ。
もっと深く: 十秒の声を鑑定書一式に編む本鑑定は、音響魔女の店にて。